今年5月に伊万里にオープンしたカフェ『Noppo(のっぽ)』へ。

 

案内されたのは、やわらかな光の入る、畳と縁側のあるお部屋。

 

運ばれてきたお料理は、素材の優しい味がして、なんだか気持ちがほっとします。

 

そんなくつろぎのお店『Noppo』。

素敵な空間の作り手は、3年前に伊万里に移住をされたご夫婦でした。

ゆうたさんとゆきさん。

ゆうたさんは、埼玉ご出身でIターン移住、ゆきさんは、もともと伊万里のご出身でUターン移住。なんと我が家と全く同じ。どのようにしてカフェをオープンされたのか、とっても気になります。

ということで、今回、伊万里への移住について、そしてカフェ『Noppo』について、お二人にインタビューをしてきました。

理想の生活スタイルを求めて伊万里へ

ーーそもそも、なぜ伊万里へ移住されたんですか?

ゆうた:もともと二人とも東京に勤めてたんですが、お互い仕事を変えようっていうタイミングが合って、その時に九州に移住しようという話になりました。最初は福岡で一年ぐらい過ごした後、地域おこし協力隊の制度で伊万里に来たっていう流れになります。

ゆき:私が、いつかは伊万里に戻りたいっていうのもあったし、主人が東京でカフェの店長をしていたので、伊万里でカフェやりたいねって話をしていました。でもいきなり伊万里は難しいねって。

ゆうた:ずっと僕も東京だったんで、流石に車も無いし、言語も分からないし、まずは福岡から。でも、福岡での生活はあまり東京とスタイルが変わらなくて。深夜まで仕事して、土日は寝て、起きても電車で移動して。もう少し自分たちのやりやすい生活のスタイルはないかって考えていた時に、伊万里の地域おこし協力隊の募集を知って、じゃあ行こう!って一気に決まりました。

 

ーー伊万里への移住で、戸惑いや驚きはありましたか?

ゆうた:まず言葉が分からなくて。とくにお年寄りの言葉は分からなかったです。でも僕が標準語だから、みんなやさしめの表現にしてくれて理解出来るようになったけど、最初はそこが違和感でしたね。

驚いたことは、食材が新鮮!スーパーに行った時、肉売り場よりも魚売り場ほうが広いのに衝撃をうけました。最初しばらくはスーパーを回ってましたね。魚の種類も東京ではほぼマグロなのに、こっちだと白身魚もあって、しかも鮮度へのこだわりがある。

ゆき:野菜も、東京では美味しくなさそうで、限られた野菜しか買えなかったんです。でもこっちだと、ミニトマトも採れたての肉厚のものが食べれたり、帰ってきたら食材どれを食べても美味しくて驚きました。

 

移住だからこそ楽しめる”伊万里のあたりまえ”

ーー伊万里に移住してよかったと思うことは何ですか?

ゆき:まず仕事が5時6時に終わること。帰ってきて、「夕日が綺麗だから海まで夕日を見に行こう」とか、「おにぎり持って棚田に行こう」とか、毎日の生活を楽しむ余裕ができたっていうのが一番大きかったですね。

あと、ホタルがこんなに見れることも知らなかった。近くの川をすごい飛んでて。星を見よう!とかも、東京にいたときは思わなかった。そういう楽しみ方を知らなかったです。

ゆうた:車で行きたい場所にすぐにポンと行って、ゆっくり出来るのがこっちならでは。東京では電車だからできなかった。しかもお金がかからないのが一番の魅力。というかお金をかけないのが楽しい!

伊万里にずっと住んでたらあたりまえすぎて気づかないんですけど、逆に向こうに住んでいたからこそ楽しめるのかなと思った。

それと、東京にいるときは、自分の地域のことを知ろうとしなかったですね。外のことばっかり気になって、近くのことが気にならなかったんですけど、伊万里に住んでたら、近くに遊べるところがいっぱいあるから、そっちのほうが楽しいじゃんって。

 

夢だったカフェづくりとNoppoへの想い

ーーカフェを開くことになったきっかけは?

ゆうた:カフェづくりは、奥さん(ゆきさん)の子供の頃からの夢だったみたいで。

ゆき:ずっと“空間づくり”をしたかったんです。

ゆうた:でも飲食店をやろうとなったら費用がかかるし、と思っていた時に、ちょうどこの家(お店)が空き家になったり、地域おこし協力隊の任期後の起業サポートが受けれたり、タイミングが見事に合って、実際出来るかもしれない!となりました。

 

ーーnoppoは、どんなカフェにしたいですか?

ゆうた:コンセプトは「美味しいごはんとおやつ」。大人がゆっくりできるカフェを目標にしています。

畳に座ることで、実家に帰ってきたみたいな落ち着くゆったり感があるけど、料理はちゃんしたものをお出ししたいなと。

ゆき:長居してもらいたいので、あえてデザートとドリンクをつけて、滞在時間を長くいてもらえるように考えています。

ゆうた:“ゆっくりしてもらいたい”を考えた結果、別々に料理をお出しする事で、おしゃべりしながらゆっくり出てきたものを食べることが出来るので、そういうメニュー構成にしています。プレートのお野菜ランチも品数を多くすることで、ゆっくり食べれるようにしているんです。

 

ーー料理はお二人で作られているんですか?

ゆうた:料理とデザートは僕で、焼き菓子のおやつは奥さんです。

料理は、東京で働いていたカフェのシェフが二つ星のシェフで、一から調理法を教えてもらいました。出来るだけ皆さんがあまり食べたことがないようなものを提供できたらなと。実際来て頂いた方にせっかくなら満足して帰ってもらいたいです。

食材も、お肉は出来るだけ佐賀県産で鮮度の高いものを使うのはもちろんなんですけど、塩の量を減らして食べ疲れしないようにしたり、ゆっくり食べる方のために、冷めても美味しいようにしています。

お菓子も甘さ控えめだと思います。自分たちがそれが好きなので。

ゆき:体に優しくて、食べても罪悪感がないけど、満足はして欲しいなって思っています。あと、バターが嫌いで食べれないお子さんには、オイルクッキーで軽めに作ってみようかとか、できるだけ沢山の人が食べれるようにしたいです。

ゆうた:お菓子というより、おやつ。日常的に食べてもらいやすいもの。特別ではない日常をイメージしています。

 

ーー最後に。来ていただくお客様に伝えたいことはありますか?

ゆうた:最初から、こんなに支持していただけるとは思ってなくて。ほんとに最初はバイトしよっかって思って始めたので、毎日沢山の方に来ていただけて、すごく嬉しいです。

こんな二人でやって、接客だったり、料理だったり、お互いに拙い部分や分からないこともあって、お手間をかけたり。お客様に申し訳ないと思うこともあります。

なのでまずは、日頃のお客様に、感謝の気持ちを伝えたいです。

 

***

 

素敵なカフェの作り手は、やっぱり素敵な方々でした。

お話を聞いている間も、お二人がお互いのことを尊重して想い合っていたり、私のことまで細やかに気づいてくださったりと、至るところに優しさを感じました。

”伊万里に移住してカフェを開く”。同じ移住者として、うんうん、と共感する部分や、ゆうたさんとゆきさんならではの人生の歩み方を聞いて感心したりと、とても楽しい時間でした。そして改めて思ったのは“伊万里でよかった”ということ。

そんな気持ちにさせてくれる、沢山の想いが詰まったカフェ『Noppo』。

ぜひ、素敵なお二人に会いに、そして美味しいごはんとおやつを食べに行ってみてください♪

 

Noppo

◯営業時間
ランチ:11〜14時 ※13時L.O (予約可)
カフェ:15〜17時 ※16時半L.O
おやつ販売:15〜17時
お休み:月、火、6/5

◯場所
伊万里市大坪町甲2828-6

◯Instagram : @noppo_imari